時すでに、遅し?(そんなの認めない)



「副長! Trick or Treat! お菓子くれなきゃ悪戯しますよ?」
「ぶはっ」
「ひゃっ!? ちょ、やだ、なにお茶吹いてるんですか」
「なに、じゃねェ! なんだそれは!」
「ハロウィンですよ? 副長ったら知らないんですか?」
「違ェェ! その格好はなんだって聞いてんだ!」
「猫娘でーす。可愛いでしょう?」
「……くだらねェことしてる暇があったら仕事しろよな」
「仕事をサボってなんかないですよ。空き時間を見つけてはコツコツ作ってたんですから!」
「ますますくだらねェな」
「そんな言い方しなくてもいいじゃないですか! 猫耳も尻尾も作るのホントに大変だったんですからね!」
「あー、もうわかったから。カワイイカワイイ。似合ってっから俺に仕事をさせてくれ」
「棒読みじゃないですか。つまんないのー」
「俺ァ忙しいんだよ。お菓子なら山崎辺りにもらえばいいだろ」
「ちぇー、副長ったらつれないにゃー」
「にゃー、じゃねェよ。お前も遊んでないで仕事しろよ」
「ちゃんと働いてますぅー。それに今日は皆さん、仮装したまま仕事してますよ」
「はァ? なんだそれ!?」
「局長はぬりかべで山崎さんはフランケンシュタインで」
「なんで和洋折衷なんだよ」
「沖田隊長はエイリアンです」
「……それ、ハロウィンなのか?」
「だから仮装してない人は自動的にお菓子配布係になっちゃうんですよ」
「おかしいだろ、その理屈」
「あ、副長も仮装します? 吸血鬼の衣装が残ってますよ!」
「なんでそうなるんだ」
「きっと似合いますよ! 鬼は鬼でも吸血鬼ですね!」
「上手くもなんともねーよ! んなもん、総悟に全力でにんにくを投げつけられてしまいじゃねーかァァ!」
「というわけで、Trick or Treat! ってことなんです」
「……わかった、じゃあちょっとこっちこい」
「え、ホントにくれるんですか!? やった、なんですか――って、ちょっと、急に引っ張らないでくださいよ」
「要するに甘いモンが欲しいんだろ?」
「え……い、いや、やっぱいいです。お仕事の邪魔してすみませんでしたぁ!」
「逃げんな。甘いモンくれてやるって言ってんだからよ」
「副長にイタズラされるーっ!」
「てめっ、人聞きの悪いこと言ってんじゃねェェェ!」